当日はご近所の方や、ご家族のご友人など、顔なじみの方々にも多くお越しいただきました。晴れた空に向かって舞う紅白餅。
上棟の餅撒きは、今も昔も変わらず、人と人との縁を結び直す時間のように感じます。餅を受け取る手と手。
その場で交わされる何気ない会話。天気の話や、ご家族の近況、子どもたちの成長の話。
そんなささやかな言葉のやり取りの中に、季節の移ろいや、時の流れが感じられます。
便利なツールが増え、必要最低限のやり取りだけで物事が進むことも多い時代ですが、人と人が直接顔を合わせる時間には、それとは違う温度があります。
そうした時間の積み重ねが、住まいは少しずつ表情を生み出していくのだと思います。
家を建てるということは、建物をつくることだけではなく、人とのつながりの中で暮らしを育てていくこと。上棟の日は、その始まりを感じる一日でもありました。
上棟を終え、丸太梁が家の骨組みとして据えられました。住まいの土台を、力強く支える梁です。
かつては多くの家で見られた丸太梁も、運搬のしやすさや構造の合理性から、いつの間にか四角い材へと置き換わってきました。
吉木の家では、この丸太梁を暮らしの中でも活かしていきます。畑で育てた大根や玉ねぎを吊るし、ゆっくりと風にあてながら干す。
丸太梁の下には、季節ごとに違う野菜が並び、風の流れや四季の移ろい、日々の営みが重なっていきます。
家の中に、少しずつ積み重なっていく時間。その積み重ねが、住まいに表情を生み、その家ならではの佇まいをつくっていきます。住まいとは、ただ建物として完成するものではなく、暮らしの営みとともに育っていくもの。
吉木の家でも、丸太梁の下で生まれる日々の時間が、これからの季節をゆっくりと刻んでいきます。