ローコスト住宅は長期優良住宅の認定を受けられるの?

2022/10/27

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、家を良好な状態で長期的に保てる工夫がされた家のこと。子どもや孫の代まで長く住むことができる性能を持つ住宅です。長期優良住宅の制度ができた背景には、「つくっては壊す」の繰り返しではなく、「いいものを長く使い続ける」というエコな価値観への変化があります。

日本の住宅寿命は30年で、アメリカの70年、イギリスの80年以上に比べて顕著に短命であるといわれます。その理由には地震が多いといった環境面だけではなく、「なんとなく新築が良い」という国民志向がありました。ローンを払い終わったらすぐ取り壊す、そんなスクラップ&ビルド型の社会から、いいものを長く使うストック活用型社会への転換が長期優良住宅制度の目的です。

長持ちする家は建築から取り壊しまでの住宅のライフサイクルが長くなります。世代を超えて住居にかかる費用を節約しやすいだけでなく長く快適に暮らせる家 = 資産価値のある家という価値観の変化をもたらすことに繋がるでしょう。

家を長持ちさせるためには相応する住宅性能が必要です。長期優良住宅に認定されるには、長く住むための構造や設備、快適に暮らせる広さ、自然災害への耐久性など、様々な基準を満たした上で審査を受けて所管の行政庁に申請することが必要なのです。

ローコスト住宅でも長期優良住宅を目指せる?

ローコスト住宅は、注文住宅(オーダーメイドの住宅)と違って建材や資材を大量生産、まとめて購入することでコストダウンをしています。コストを抑えている分、長期優良住宅のような高性能な家づくりはできないイメージがあるかもしれません。自由度が高い注文住宅では、建材や資材を建てる家に合わせて個別につくる必要があり、手間、時間、費用もかかるもの。

一方のローコスト住宅は「デザインをシンプルにする」「建材のサイズを規格化する」など家づくりをパターン化して建築費用を抑えるだけでなく、施工や完成が早くなることで人件費などのコストもカットしています。つまり、ローコスト住宅とは単純に性能レベルを下げてコストを抑えているわけではないため、耐震性能や断熱性能など長期優良住宅に必要な性能を高めることで、基準を満たすことも可能。

ただ、性能を高めるにはコストがかかるため、その他の部分でコストを抑える工夫も必要になります。例えば床面積を少なくする、仕切りの少ない間取りにする、デザインをシンプルにするといった方法で、コストダウンを図りつつ性能を高めることが可能です。

長期優良住宅に認定されるための基準とは?

長期優良住宅は、子や孫の代まで長く良い状態を保てる住宅にしなければなりません。そのためには以下の5つの基準に適合する必要があります。

  • 住宅の構造および設備について長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること
  • 住宅の面積が良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
  • 地域の居住環境の維持、向上に配慮されたものであること
  • 維持保全計画が適切なものであること
  • 自然災害による被害の発生の防止、軽減に配慮がされたものであること

具体的には以下の性能が求められることになります。

  • 耐震性
  • 省エネルギー性
  • 劣化対策
  • 維持管理、更新のしやすさ
  • 最低限の住居面積

それぞれどういった性能が必要なのか見ていきましょう。

耐震性

地震の多い日本の住宅には、耐震性を高める措置が必要。柱や梁、壁や基礎構造などの構造躯体の強さによる耐震性を評価して表すものとして「耐震等級」があります。

耐震等級は3段階に分かれた等級で、建築基準法で建物が最低限持っているべき耐震性とされているのが耐震等級1。長期優良住宅の認定を受けるには耐震等級2を満たす必要がありましたが、2022年10月から変更され、必要な基準が耐震等級3に引き上げられました。それぞれの等級が持つ性能は以下のようなものです。

  • 耐震等級1…建築基準法に定められた耐震性能(震度6強から7程度の地震が起きても倒壊、崩壊しない。震度5ぐらいの地震が起きても損傷しない)
  • 耐震等級2…耐震等級1の1.25倍の耐震性能
  • 耐震等級3…耐震等級1の1.5倍の耐震性能(震度6強から7程度の地震が起きても、無傷、または軽い補修をすれば住み続けられる)

耐震・制震・免震の違い

耐震性を高める工夫には、耐震、制震、免震の大きく3つの種類があります。

耐震は地震の揺れに耐えられる対策で、柱や梁などに金具をつける、筋かいをつけるといった施工になります。

制震は地震の揺れを吸収する構造で、重りやダンパーを設置。

免震は地震の揺れを伝えない構造で、特に高層ビルに対して行われる措置となっており、建物と基礎の間に免震装置を設置します。

省エネルギー対策

省エネルギー対策とは、2050年の脱炭素社会に向けて、住宅が消費するエネルギーを減らすために行う対策のこと。例えば、断熱性を高めて暑い夏の温度や冬の寒さを吸収、放出しないようにすることで、冷房、暖房で消費する電力を節約するといった対策があります。

省エネルギー対策にもそのレベルを定めた等級があり、評価項目としては「断熱性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」の2つです。耐震性と同じく長期優良住宅で求められる等級の引き上げがあり、2022年10月以降は断熱性能等級5、一次エネルギー消費量等級6が必要な基準となっています。

断熱性能等級にも関係する、家の省エネ性能を表す数値がUA値、Q値、C値。この中で、UA値の値によって断熱性能等級が定められています。

  • UA値…外皮平均熱貫流率。住宅の内部から壁や天井、床、窓を伝わって失ってしまう熱量を表しています。
  • Q値…熱損失係数という意味で、どれだけ熱が失われにくい家なのかを表す数値です。
  • C値…相当隙間面積のことで、建物のすき間がどれくらいあるのか、家の気密性を数値で表します。

一次エネルギー消費量等級については、BEIという値が基準となり、設計段階で計算した一次エネルギー消費量を基準となる一次エネルギー消費量で割って算出します。等級6の場合はBEI=0.8となり、基準よりも20%のエネルギー消費削減が求められる値となっています。

劣化対策

住宅は長く住んでいると水や湿気で劣化をしてしまうため、数世代にわたって生活ができる住宅環境を保つためには劣化対策が必須。外壁や土台、浴室などに対する防腐剤の塗布をはじめ、白アリ対策、換気システムの設置、床下空間の確保のほか、点検口を設けるなどメンテナンスのしやすさも含まれます。長期優良住宅に認定されるには、劣化対策等級3を満たす必要があります。

  • 劣化対策等級1…建築基準法が定めている最低限の対策レベル
  • 劣化対策等級2…構造躯体(柱や梁、土台や基礎)が2世代にあたる50~60年保たれるレベルの対策
  • 劣化対策等級3…構造躯体が3世代(75~90年)保たれる対策

居住環境

地域によっては、景観を保つために家を建てる際のルールが定められている場合があります。ルールは所管行政庁によって異なりますが、そのルールに沿って家づくりを計画することが必要です。

また、将来的に土地区画整理や道路の拡張をされる場所や災害の恐れがあるところは、長期優良住宅に認定されません。土地の購入や施工をする前に基準を満たしているか確認が必要になります。

住戸面積

住戸面積にも基準があります。2人世帯の一般型誘導居住面積水準に基づき、一戸建ての場合は75㎡以上が必要。大体3LDKくらいの広さが求められ、大人2人、子ども2人を想定した面積となっています。

維持管理、更新の容易性

内装や配管、排水管は使っていると当然劣化をしていきます。長期優良住宅に認定されるには、劣化のしやすい部分の点検や補修- 管理のしやすさも基準として定められており、維持管理対策等級3が必要です。例えば配管がコンクリートの下に埋め込まれておらず、点検口があってメンテナンスしやすいといった措置が求められる等級となっています。

維持保全計画

住宅を長く維持するには、当然メンテナンスが必要です。長期優良住宅に認定してもらうには住宅の維持保全計画の作成が必要であり、この計画に基づいて点検- 維持しなければなりません。

点検は住宅が完成してから10年に1回が目安となり、点検の際に補修をした場合は、維持管理の状況の記録も必要です。所管行政庁から維持保全状況の調査があった際に報告ができなければ、認定取り消しや30万円以下の罰金を科されることも。

なお、長期優良住宅の認定を受けた家の売買では、所管行政庁の承認が必要で、維持保全計画も購入者へ引き継ぐことになります。

2022年10月から変わった基準とは

2022年10月1日から長期優良住宅認定基準の改正がありました。主な改正点は「耐震性」「省エネルギー対策」「建築行為を伴わない既存住宅への認定制度の開始」となっています。耐震性の基準は、耐震等級2から3へ変更されました。耐震等級3とは、震度6から7の地震が1.5倍になっても倒れないレベルで、主に消防署や警察署などと同じレベルの耐震性です。

省エネルギー対策は、新設される断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6のふたつの基準を満たすことが必要となりました。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の水準に引き上げられた形です。

※ZEH…太陽光発電などによりエネルギーをつくることで、住宅で消費するエネルギーとつくるエネルギーの収支をゼロにする住宅。

また、これまで新築が対象であった長期優良住宅の認定が、すでに建築されている住宅や増改築でも申請できるようになりました。

長期優良住宅の3つのメリット

税制の優遇がある

住宅の購入資金を確保する際に活用する住宅ローンですが、ローンの残高に合わせて所得税控除を受けられるのが「住宅ローン減税制度」です。長期優良住宅の場合、住宅ローン減税制度の優遇があり、控除対象となる借入限度額が5000万円に引き上げられています。一般的な住宅は3000万円、省エネ基準適合の住宅でも4000万円が限度額となっており、長期優良住宅の限度額が最も高くなっています。控除額は年末のローン残高の0.7%で算出。一般住宅の3000万円では年間21万円が最大控除額になるのに対して、長期優良住宅の場合は5000万円の0.7%で年間35万円が最大控除額になります。

他にも、住宅を建築・購入で必要な登記申請の登録免許税にも優遇があります。長期優良住宅に認定されていると登録免許税の税率が引き下げられ、保存登記は0.15%から0.1%に、移転登記は0.3%から0.2%になります。固定資産税についても減税措置の適用期間が延長され、一般住宅は3年のところ長期優良住宅は5年と、一般住宅に比べて2年長い優遇措置となっています。

住宅ローンの金利が下がる

長期固定金利ローンの【フラット35】。長期優良住宅の場合は【フラット35】S(金利Aプラン)の利用が可能となっており、10年間の金利が0.25%引き下げられます。また、住宅がZEH基準も満たしている場合は【フラット35】S(ZEH)との併用ができ、その場合は10年間の金利引き下げ幅を0.5%まで下げることが可能です。

他にも、長期優良住宅だけを対象にした全期間固定金利住宅ローン「フラット50」が利用可能。返済期間が36~50年の長期間となり、売却で購入者にローンを引き継ぐことができるローンとなっています。

地震保険が割引される

地震保険は住宅の耐震性にあわせて割引をしてもらうことが可能です。耐震等級割引では耐震等級2で30%、耐震等級3で50%の割引あり。長期優良住宅に認定されるためには耐震等級3以上が必要なため(2022年10月以降)、保険料が50%割引されることになります。

長期優良住宅の3つのデメリット

着工までに時間がかかる

長期優良住宅の認定を受けるには、着工前までに登録住宅性能評価機関によって住宅性能審査をしてもらい適合証を発行、その上で所管行政庁に認定申請書を提出する必要があります。長期優良住宅と認定されてからの着工となるため、申請期間中は着工ができず、一般的な住宅よりも1週間から1ヶ月ほど着工までに時間がかかります。

建築コストがかかる

長期優良住宅の認定を受けるには、基準を満たすために耐震性や断熱性を高める設備や建材を使用しなくてはなりません。そのため一般住宅と比べて20%から30%ほど建築コストが割高になる可能性があり、認定書類の作成や審査料などの費用も必要となります。その分、長期優良住宅は断熱性などの住宅性能が高いため、光熱費など長期的に必要となるランニングコストは抑えやすくなっています。

定期点検が必要

長期優良住宅と認定されるためには、維持保全計画書の作成が必要。計画書通り、最低10年間に1回は定期点検が必要になるため、点検代や補修代などのメンテナンスコストがかかります。定期点検を行わないと長期優良住宅の認定を取り消される場合があるため、点検にかかる費用は必要経費として想定しておきましょう。

省令準耐火構造で更にお得に

住宅ローンを組む際には火災保険の加入が義務付けられますが、省令準耐火構造の建物にすると火災保険の保険料が割引されます。省令準耐火構造とは、住宅金融支援機構が定める防火性能を持った住宅のこと。隣の家などからのもらい火をなくし、火災が室内で発生しても延焼を遅くするために、外壁や屋根を防火構造にする必要があります。

木造住宅の場合は保険料が割高になりますが、省令準耐火構造にして火災のリスクを減らすことで保険料を抑えることが可能です。省令準耐火構造は長期優良住宅の基準としては求められていませんが、性能を重視して家を建てる場合には検討する価値があります。

ローコストでフルオーダー並みの性能を持つ規格住宅とは

ローコスト住宅は性能を犠牲にしたり、建材を安いものにするなどしてコストを抑えているわけではありません。建築工程を効率化することでローコストを実現しているため、工夫次第で長期優良住宅の基準を満たすような高い性能を持つ家づくりも可能です。高品質なオーダーメイド住宅にこだわってきた原口想建では、オーダーメイド品質はそのままに、家づくりを規格化(パターン化)することでコストを抑えた規格住宅「レディ・メイド」を提供しています。

とはいえ、自由度が高いフルオーダーの注文住宅で理想の間取りや性能を持った家を実現させたいと考える方も多いはず。人生で一番高い買い物ともいえる住宅ですから、どんな家を建てたいか迷ってしまうのも当然です。そんな方のために、注文住宅と規格住宅のどちらがあっているのか、様々な質問にお答えいただくことでわかる「YesNo-Chart」をご用意しました。ぜひチェックしてみてください。

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